パーマカルチャーという言葉をご存知でしょうか?
パーマネント(永久の)とアグリカルチャー(農業)あるいはカルチャー(文化)という言葉を組み合わせた造語で、人間と自然が共生して持続的に生きていくデザイン体系のことです。
もともとはオーストラリア発祥ですが、東日本大震災・コロナウイルスのパンデミックなど、今までの都市生活が根本から覆ってしまうような出来事をうけ、日本でも徐々に脚光を浴びている考え方なのです!
そして今回は、そんな新しいムーブメントを取り入れ、オリジナルの生き方「塩梅(あんばい)ライフ」を実践するYutaさんにお話を伺いました!
嶺北で、そんな面白い生き方をしている人がいるなんて、ワクワクしてしまいますよね!
では、早速聞いていきたいと思います!
農業をする自信が持てなかった移住前

Yutaさん
兵庫県出身の34歳。嶺北地域に移住を決意し、海外渡航の後に嶺北へ。便利や快適さが優先されている現代で、もっと自然に寄り添った、楽しく安心できる暮らしがしたい。こうした思いから人と自然がともにハッピーな暮らしを「塩梅ライフ」と名付け、実践している。Yutaさんのブログ・Twitterはこちら。
ーーー嶺北に移住する前は、どんなお仕事をされていたのでしょう?
医療機器の営業を、9年間行っていました。
ーーー移住を考え始めたのは、どういう経緯があったのでしょう?
ずっと、このままでいいのかな?とは思っていました。
結婚しても夫婦で話す時間は少なく、子どもと遊ぶ時間も十分とは言えませんでした。
土日も仕事のことを考えていて、自分のしたいことをする時間が割けなかったんです。
ーーー移住を決意したきっかけは、何でしたか?
会社員として8年目の出来事です。
とても大きな案件を任されました。
初めは思うようにいかない部分も多かったのですが、何度もチャレンジし、最終的に契約をしてもらうことができました。

ーーーそれは嬉しいですね!
その成功を経験し、人間って本気でやれば何でもできるのではないかと思ったんです。
その時、「ほな、農業いけるで」という声が聞こえたんです。
ーーーなぜ農業だったのでしょう?
ずっと昔から農業には興味がありました。
人生の選択肢の中にも農業は入っていて何度かその道を歩もうと考えたこともあったんです。
でも、それでやっていけるのかと言われると自信がありませんでした…。
ーーー仕事での成功体験を通して、農業の道を選んでも大丈夫だという自信につながったんですね。農業を選ぼうと思った原体験はありますか?
小学2年生くらいの時です。
父親の実家は田舎で、農業をしていました。
毎年、田んぼの水路に網を入れ、生き物が獲れるのを楽しみにしていたのですが、その年は全く獲れなかったんです。
いつもはドジョウやザリガニや、魚がたくさんいたのに…
ーーーその原因は何だったのでしょう?
おじいちゃんに聞くと、農薬を撒いたからだと言っていました。
それがとてもショックだったことを今でも覚えていて…。
ーーーなるほど…。そこから農業に興味を持たれたんですね。
移住先としてどのように嶺北を見つけられたんですか?
農業をするなら、綺麗な川と空気が必要でした。
そこで、清流で有名な高知県の四万十川を見に行くことにしたんです。

キャンプで高知県を回っていると、高知県民の人柄の良さにも触れることができました。
ーーー他には、どんな出会いがあったのでしょう?
むかし暮らしをされている笹の家にお邪魔しました。
ここでは昔のような自給自足生活をされており、この生活が自分の理想にとても近かったんです。
そこで嶺北は移住者も多く、住民の方もオープンな方が多いからオススメだと聞き、れいほく田舎暮らしネットワークに問い合わせたんです。
ーーーその後は、どのような生活をされていたのでしょう?
退職して嶺北に家を見つけたのち、パーマカルチャーを学ぶべく海外へ渡航しました。
まずは語学留学のためフィリピン、そしてタイ、オーストラリア、ニュージーランドと渡り歩きました。
ーーーパーマカルチャーとは、何なのでしょう?
パーマカルチャーとは造語で…
パーマネント(永久の)、 アグリカルチャー(農業)、カルチャー(文化)から成っている言葉です。
ザックリ言えば、持続的な農業ということになります。
ーーー海外渡航で、特に印象的だった部分はありますか?
タイに住む家族の暮らしでした。
山奥のまた山奥に、ポツンと竹でできた家があったんです。

そこでは電気も自給して、生活をしているんです。
まさにこんなところに来たかった!と、とても興奮しました!
ーーーそこでの学びは何でしたか?
そこに住んでいたサンドットさんが、いつも「ハッピーか?」と聞くんです。
それがその方にとっての、一番の判断基準になっているんですね。

ーーー他にはありますか?
「めんどくさいことはするな」です。
面倒だと思ったことは続かない。
だから自分にとってちょうど良い塩梅の生活を選んでいくことが大事なのだと、学びました。
ーーー今に繋がる生き方が構築されていったんですね!
日本に戻ってからの生活はいかがでしたか?
めちゃくちゃ、良かったですね!
夫婦で話す時間が増えたり、子どもたちと遊ぶことも増えました。
それがとても幸せで、何の不満もなく幸せでした。
Yutaさんの暮らしとは?

ーーーそれでは、Yutaさんの暮らしを覗かせてください!
トラックに薪がたくさん積まれていますね。
パーマカルチャーのコツとして、1つの動作で2つ以上のメリットを生むということがあります。
例えば、子供を保育園に送る帰りに、夜のお風呂で使う薪を拾って来たり。

ーーーこれはお餅ですか?
はい、鏡餅です。
手作りの杵と臼で作ったお餅なんです。

ーーー手作りの杵と臼…ですか!?
切り出したイチョウの木をちょうど良いサイズにカットして…。
後はこんな角度でチェーンソーを入れて、表面をなめらかにすれば完成です。

ーーーおお…!こちらは何でしょう?火を焚いていますね。
これはロケットストーブといいます。
なるべく空気が入らないようにして、煙突部分から一気に火力を発揮させるんです!
こうすることで、効率よく薪を使うことができます。

ーーーこちらには鹿の毛皮がかかっていますね!
狩猟も行うので、鹿の毛皮が何かに使えないかと思って干しています。

パリパリになってしまったので、もう一工夫が必要ですが…。
そう言えば、イノシシのスープもグツグツ煮込んでいるんです。
ーーーちょっと見えている部分は頭でしょうか?
頭を丸ごと煮込んでいます(笑)
明日はこれを使って、イノシシラーメンをしようかと。

ーーーいいスープが取れそうですね!
これからのビジョン「塩梅ライフ」とは?

ーーーこれからは、どのようなビジョンをお持ちですか?
人と自然がともにハッピーな生き方というのが自分にとって理想だと思っています。
人にとってだけ良いことをしてしまうと資源がなくなっていく、自然がなくなっていくということになっていってしまいます。
ーーーなるほど…そのビジョンを実現するために、どういった生活をされていますか?
自分が心地いいレベルで、不便と便利の間をとって生活していく。
これを塩梅ライフと名付けました。

ーーー塩梅ライフ…!とても素敵な響きです!
つい最近、今住んでいる家へ引っ越して来ました。
なんと、黒い線の範囲は敷地なんです!
ここでゆっくり時間をかけて、塩梅ライフを広げていこうと思っています。

ーーー広いですね!!
全部で1万平米くらいはあると思います。
家族5人で生きていくには余裕ですね(笑)
ーーーこれからはどのように、塩梅ライフを広げていくのでしょうか?
パーマカルチャーで大切なのは、観察だと言われています。
まずはどこに何があるのかを観察する。
そして住みながら、どう土地をデザインしていくのかについて考えていくんです。

ーーーというと??
例えば、ぬかるむ土地に水を溜めて池にしてみたり。
そうすれば渇水の時、そこから水を引いてくることができます。
また、ため池の水を使って水力発電ができる可能性もあります。

ーーーなるほど!まだまだ始まったばかりの塩梅ライフ、この先が楽しみです!
これから鶏小屋を作ったり、ヤギを飼ったり…という妄想を実現していくので、その変化を楽しんでいけたらいいですね。
ーーー今回は、ありがとうございました!
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