【大豊町・大豊学園】町産材をふんだんに使った新設の教育施設を紹介!

2022年4月から、いよいよ大豊町が長年温めてきた教育改革がスタートしました。

大豊学園」という名の下、小中一貫校を義務教育とする、9年制の学校教育です。

そんな大豊学園ですが、実は保育所、学校施設を「れいほくTV」の運営元でもある藤川工務店が施工させていただきましたので紹介していきます!

※こちらの記事は、オープン前に取材させていだいた時のものとなります。

大豊町にできる新しい教育施設

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大豊町立大豊学園

2022年4月からはじまる、小中一貫校の「5・4制」の9年生の義務教育学校。その隣には大杉保育所も新設。いずれも県産木材を使用し、温かみのある園舎・校舎となっている。

在来軸組工法(貫工法)とCLTパネルを併用した建物

2021年10月の取材に訪れたとき、新しくできる園舎と校舎はほぼ完成しており、あとは校舎の玄関まわりと、後期課程で使う校舎の改築が残っている状態でした。

新設された建物はすべて木造で作られ、スタイリッシュな外観と内観に圧倒されます!!

注目されている点としては、在来工法(貫工法)に、CLTパネルが使われているところ。

 CLTとは、Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略称。

板の繊維が直交するように重ねて接着した木材パネルのことをいい、木材特有の反りや狂いが少なく、耐熱性、耐火性、調湿性があり、コンクリートより軽量で扱いやすいとされています。

また今後、成熟していく日本の森林資源を有効に活用するため、新たな木材活用法としても「CLT」は注目されています。

なんと、2020年の東京オリンピック、パラリンピックの選手村施設でも大豊町産の木材が使われたんですよ!

全国でもはじめてのCLTを使った貫工法の建物「大豊学園」

保育所の給食スペースにはCLTを使った貫工法が見られる

令和2年9月29日に安全祈願祭が行われてから、地盤改良、基礎工事を経て、CLT板を使った建て方がはじまりました。

このCLTを活用した貫工法の建物は全国初ということもあり、注目されている建物でもあります。

そんなCLTの貫工法の様子は建物内からも見学ができます。

さらに、写真をクローズアップしてみると…

ぎっちりとはめ込まれて、頑丈な様子がわかります。

このCLTを用いながら貫工法で建てる方法は、「最先端の木材建築」ともいわれることがありますが、耐力性のあるCLTを用いることで、ガラス窓やガラス戸が多く、とても開放的で、これが今の時代の木造建築なのだなと、圧巻されました・・・。

今回はそんな、新しくできた「大豊学園」と保育所施設を、大豊町教育委員会の方々にご案内いただきましたので、その様子を写真とともに詳しくご紹介していきます!!

大杉保育所の外観、内観

広々とした園舎と隣接した園庭

まずは、保育所からご紹介!

昭和55年に建設された大杉保育所の園舎の老朽化が進むとともに、急な坂の通園路や耐震性などの安全性の課題を解消するために、大杉保育所新園舎が新設されました。

2022年1月11日から、大杉保育所の園児は新園舎に通うことになります。

一つの大きな空間を、間仕切りで区切られ、子どもたちが通いはじめたら、にぎやかな声が響き渡っている様子が思い浮かびます。

保育室の一例

上の写真のように、全クラスに手洗い場や、カバンや衣類を収納できる棚などが設置されています。

園内の天井部分には”カゲロウの羽”とも称される、ひだか和紙有限会社の「土佐典具帖紙」と呼ばれる世界一薄い和紙が張り巡らされており、これは声の反響を抑える吸音効果の役目を果たすほか、子どもたちが風でゆらめく和紙をみて五感で感じることを目的にされているんだそうです。

さらに、照明はLED電球を使用。

教室沿いにLEDの蛍光灯がつけられ、明るい園内
全空気式床ふく射冷暖房システム「ユカリラ」を導入している園内

園内には、エアコンの風を床の中から送り込む全空気式床幅射冷暖房システム「ユカリラ」という全館空調ができる設備を導入しており、冷暖房共に、こちらの設備を活用される予定です。

そして、こちらがホール。

クラスがある側とは、反対側に作られていますが、一面には大きなホワイトボードが設置され、さらに別の一面には、発表会などで使える跳ね上げ式のステージが備えられています。

収納可能な舞台

簡単に出し入れができ、必要なときだけ出すことが可能。

そして、渡り廊下を渡って、左手すぐには園児用のプールも設置されています。

プールの逆側には、ボルダリングが楽しめるスペースも設置。

渡り廊下からみた、園舎。右側にはプール、左側にはボルダリングスペース。

さらに、幼児組の園児たちはこの渡り廊下を通って、給食を食べるスペースに移動してもらうのですが、そこへと向かう出入り口はアーチ状になっていたりと、細部まで園児たちが楽しめるためのこだわりを感じる建物となっていました。

渡り廊下を通った先には、給食を食べるスペースが設けられ、そこに隣接する形で、給食の配膳ができる棚が備わっています。

給食の配膳スペース

ここで、給食を作る方々とのコミュニケーションもあることも想像ができますね!

作り手と食べる側にとって、楽しい場になりそうです。

給食調理場が学校施設内に完成!

老朽化した給食センターの建て替えの必要性もあったことから、今回できた義務教育学校内に、新たに給食調理場ができました。

そんな新しくできた給食調理場がこちら。

まずは持ち込まれた食材を洗うスペース。

床の色で区別化されており、緑色が外から持ち込んだ泥など「汚染ゾーン」で、その先はきれいになった食材を持ち込んで調理をするゾーン「非汚染ゾーン」に分かれているとのこと。

調理するスペースにはたくさんの調理台や調理器具が搬入されており、出番を今か今かと待っているような感じがしました。

日々、子どもたちにおいしいものを届けてくれる給食調理場の方々の休憩所もあります。

休憩スペース

ここでは、大豊学園の児童・生徒分の給食が作られ、子どもたちの成長の糧となっていきます。

地元素材を使ったおいしい給食を食べて、勉強に、遊びにと楽しんでもらいたいですね。

大豊学園の前期課程棟の内観

最後は大豊学園の施設内のご紹介です。

保育所のスペースから扉をくぐると、開放的で、ついつい走りたくなってしまう長〜い廊下が目の前に現れます。

来年から大豊町では義務教育学校として、前期課程が5年、後期課程が4年に分かれて、教育活動が進められますが、その前期課程の児童たちが学ぶのが、この新設された棟です。

取材に訪れた2021年10月時点では、後期課程棟となる、旧大豊町中学校が改修工事中で、そこで学ぶ生徒たちが一時的にこちらで学んでいて、すでに活気のある学校の様子が垣間見えました。

図書館
現在は一時的に理科室として活用されている教室

すべての教室には、大きなホワイトボードとスクリーンを設置。

教室全体も木のぬくもりを感じることができ、窓も多く、開放的な空間で、自然を感じることのできる場となっています。

多目的室。現在は一時的に音楽室として使われている

パーテーションで区切ることができるため、さまざまな空間の使い方が期待されます。

玄関には、靴を置いた向こう側も覗くことができる、遊び心を感じる靴棚。

2021年10月現在、玄関は工事を進めておられるところだったので、写真は割愛しますが、玄関にはこの建物の目印ともなる、大きなCLTパネルがあります。

存在感のある、玄関に設置されたCLTパネルの周辺には、垂れ幕を設置できる仕様になっています。

さらに、2階へ登っていくと・・・。

階段下にも段が設置されている

階段下にも段が設置されており、記念写真等で生徒たちが並んで写真撮影をしやすいように設計されているんだとか!

建物が開放的な空間として見えるように、壁の一部に鏡が使われたりするなど、さまざまな工夫があり、観光スポットに来たかのような錯覚に陥ります。

そして、こちらは「ゆとりすとデッキ」と名付けられた、屋外テラス。

床板にはアコヤ材が使われています。

こちらも今後どのような使われ方がされていくのか、楽しみです。

後期課程棟は現在、改修工事中!

2021年10月現在、新しく後期課程棟となる大豊町中学校の校舎は、改修工事中でした。

大豊町の新風!「大豊学園」のこれから

大自然に囲まれた大豊学園、大杉保育所

以上、限界集落からはじまる、新しい教育改革の現場をお届けしてきました。

地元の材をたっぷり使った、遊び心も詰まった、楽しくぬくもりのある空間で、子どもたちが元気いっぱいに仲間とともに遊び、学び、なにより成長する上で大事な経験や思い出を作っていってほしいと切に願います。

学校大好き 地域と共に

愛と善意の心が育まれる 伸び伸びあたたかな学舎

木の温もりに抱かれた 楽しい居場所

豊かな緑に囲まれた みんなが使える地域の庭

しなやかな校舎 広い校庭

古からのはるかなる歴史の鼓動が聞こえてくるような

杉の大スギの眺望 そんな学校をつくりたい

これは、「大豊町教育施設等建設基本構想」のコンセプトです。

そんな想いが詰まった建物が素敵なのはもちろんですが、ここ、大豊町には残したい食文化や生活文化、自然環境がたくさんあります。

今後はそんな大豊町の文化を心に刻む教育も盛り込まれていくようなので、大豊町のこれからがますますワクワクして、目が離せません。

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