「田舎の大自然の中でのびのびと子育てがしたい・・・・」
都会に住んでいる方なら、誰でも一度は思ったことがあるのではないでしょうか?
でも、実際には、憧れを抱きつつも、高いハードルを感じてしまいますよね。
保育園があるのか、仕事はあるのか、田舎のデメリットはあるのか…
そこで、我らが「れいほくTV」では、嶺北地方で子育てを行う2児のパパ、林利生太さんにお話を伺いしてきました!
しかも、子育てをしながら、NPO経営・柔道の先生・大家業などなど、マルチに活躍されているんだとか!?
田舎で子育てをしたいと考えている方は必見のインタビューです!
「自分はまだ世の中を何も知らない」と思った大学時代
林利生太さんのプロフィール
1994年生まれで、出身は兵庫県。高知大学休学中に高知県大豊町でハヤシはうすというシェアハウスを立ち上げた。その後は自主退学し、NPO法人ヒトマキの事務局長をしながら柔道のコーチや大家業にも取り組んでいる。
ーーーそれではまず、林さんが移住をするきっかけについてお伺いします。
僕は高校を卒業して高知大学に進学し、高知県に住むようになりました。
大学には「理科の先生になりたい!」と思って入学したんです。
ですが途中で違和感を感じて、休学しました。
ーーーその違和感とは、どういったものだったのでしょう?
以前は、教師になりたいという漠然な考えだけを持っていたんです。
ですが教員採用試験直前、このまま自分は教師になって何を教えるのかという大きな問いにぶつかりました・・・・。
自分はまだ世の中を何も知らないな、と。
大学生時代の林さん
ーーーそこで休学を選ばれたんですね。
休学してからは、日本に限らず様々な地域を訪れました。
その一つに、高知県の嶺北地域がありました。
高知の特産品である碁石茶の製造に関わる機会があったんです!!
ーーーそこで、嶺北地域の方との関わりができたんですね!
地域の人と話しているうちに、空いている古民家に住まないか?というお誘いがありました。
嶺北地域にはとても可能性を感じていたので、その古民家をハヤシはうすと名付けて住むようになったんです。
ーーーハヤシはうす…とても良い名前です。
若い人たちが田舎の良さに触れられるようにと、自分が住むだけでなくシェアハウスとして運営を始めました!
そこで暮らす中で、子供ができて、結婚をして、今に至ります。
ーーー結婚後の生活は、地元に戻ったり、違う地域に移住するという選択肢もあったと思うのですが、嶺北に住もうと思った理由は何ですか?
「人」ですね。
休学中、いろんな田舎に足を運びました。
田舎は固定費が安かったり、美味しいご飯があり、自然がいっぱいあります。
ただこれらは他の田舎と大差がないんです・・・。
となると、住む地域を選ぶ1番の決め手は「人」になるんですね。
ーーー林さんは、どんな「人」に魅力を感じたのでしょう?
古民家活用の話を持ちかけて来てくれた地域の方はもちろん、嶺北地域には移住者が多いんです!!
その方たちは、自分で事業をしていたり、自ら生活を作っている。
そういった活動的な雰囲気の中で「ここでだったらやっていけそう」という可能性を感じたんです。
パパに聞く、リアルな田舎の子育て
娘さんと一緒に出かける林さん
ーーーそれでは次に、現在の生活についてお伺いします。
大体朝は6時くらいに起きて、そこから支度をします。
色々やっていると8時半くらいになるので、子供を保育園に送ってから自分の仕事を始めるという感じですね。
ーーー保育園があると仕事に集中できますね。
日中はNPO法人の事務作業やリモートでの仕事をしたり、中学校で柔道のコーチをしていますね。
夕方には子供を迎えに行って、21時くらいには子供と一緒に寝るという生活をしています。
ーーー柔道のコーチ、NPO法人…など出て来ましたが、林さんの現在のお仕事についてお聞かせください。
現在は3つの活動を行っています。
一つ目は柔道のコーチ。
大豊町にある大豊中学校にて、柔道の部活のコーチをしています。
ーーーどういった経緯で先生になられたんですか?
僕自身、小学校1年生から大学4年生まで15年間柔道をしていたんです!!
嶺北地域に来てからも柔道をする機会を探していました。
そしてその頃、ちょうど大豊中学校で代わりのコーチを探していた時期だったんです。
そういった繋がりがあり、2年前から柔道のコーチを始めました。
ーーーなるほど。残りの2つはどういったお仕事なのでしょうか?
二つ目は「何度でも生き方を選ぼう」をコンセプトに活動する、NPO法人ヒトマキの事務局長。
三つ目はメディア関連の仕事をしています。
ーーーメディアの仕事であれば場所を選びませんね!メディア関係の仕事は、田舎暮らしに合っているのでしょうか?
デザイナー、ライター、編集者などウェブ関係の仕事ができる人は田舎暮らしに向いていると思います。
田舎で固定費を安く維持しつつ、都会と同じくらいの単価で仕事ができるからです。
ーーーでは親として、田舎で子育てをする時のメリットは何だと思われますか?
音の心配から解放されるということです。
子供は毎日のように暴れ回ったり、泣いたりしますよね・・・。
その時に、マンションであればお隣さんや上下階へ音が漏れていないかなど気になります。
対して田舎では基本的に一軒家が多く、騒音を気にすることがありません!
逆に、近所の人から「子供が1人しかいないから、賑やかで良いよ!」と言われるくらいです笑
ーーー逆に、デメリットに感じる部分はありますか?
病院が近くにないという点です。
少し離れた町まで診察を受けに行かないといけないので、そこが不便だと感じます。
ーーーでは次に、子どもにとって田舎の環境はどうなのでしょうか?
畑や川、山など生産現場が近くにあることで受ける刺激は大きいと思います!!
気軽にデイキャンプをしに出かけ、自然の中で遊ぶ経験も、田舎ならではですね〜。
晴れたからキャンプ🏕
土日は無理に仕事しようとすると、育児に翻弄されてめっちゃしんどいので、割り切って遊びに徹するようにしてます。
ノー密な休日 pic.twitter.com/39j8mliw1y
— ハヤシはしる🧘♂️キャリアに悩む若者の味方 (@884hasiru) June 28, 2020
週末にキャンプを楽しむ林さんと娘さん
ーーー楽しそうなキャンプの様子です!逆に、デメリットなどはありますか?
自然に囲まれているのはとても良い点です!
ですが子どもたちが集まって遊ぶ公園は近くにないんです。
行くにも車か原付が必要で、友達同士で気軽に遊ぶ…といったことができないのはデメリットだと感じています。
ーーー移住する際、奥様は反対されなかったのでしょうか?
僕は田舎が好きだったのですが、妻は近くにカフェがあったり、買い物する場所があったりする方が良かったみたいです。
なので最初は「実家に帰りたい」と、よく言っていました・・・。
ただ住めば都というように、妻も住んでみて田舎の良さを感じたみたいです。
今では実家に帰った時に、「早く嶺北に帰りたい」と言うまでになりました笑
今後は大家業に挑戦?
林さんが大家をしている古民家の内部
ーーー林さんのこれからのビジョンを聞かせて下さい!
古民家をハヤシはうすとして運営し始めた2016年以降、大家業には興味を持っていました。
そして今は、古民家の大家さんをしています。
ーーー26歳にして大家さんなんですね…!古民家の利活用には、どのような魅力がありますか?
大きく分けて3つです。
一つ目に、嶺北に来たい人を受け入れられること。
シェアハウスは数軒ありますが、1人で住んだり短期間だけ住んだり…もっと多様な生き方があるべきです。
その選択肢の提供として、古民家活用があります。
嶺北地域には悩める若者や移住希望者などたくさんの人がやってきます。(写真右下が林さん)
二つ目に、捨てられる古民家を利活用できること。
家は使われなくなると、すぐに廃れていきます。
ボロボロになる前に、自分たちで直せるところは直し、地域資源として活用していく流れが必要だと考えています。
三つ目に、大家として安定した収入を得られること。
子育てなどで仕事にあまり時間が割けない時でも収入があるのは心強いことです。
こんな働き方が一つのロールモデルになったら、もっと生き方の選択肢は広がると思います。
ーーー最後に、移住を考えている方へ伝えたいメッセージはありますか?
「移住」と聞くと、人生における一大決心!のような風潮があります。
ですが、僕はそんなに重く捉える必要はないと思っています。
都市での『働き』『暮らし』に違和感を感じ、その生き方を変えたくなったのなら
高知の限界集落でハヤシと泳ごう。 pic.twitter.com/rlvzpo6jWU
— ハヤシはしる🧘♂️キャリアに悩む若者の味方 (@884hasiru) August 20, 2020
高知県だったら、まずは高知市のような田舎に近い地方都市に引っ越してみる。
もっと田舎を体験したいと思ったら嶺北のような地域に通ってみて、地域の方と交流してみる。
そこから移住するとしても「引っ越す」くらいの軽い気持ちでも良いと思います。
田舎は人口が少なくて過疎、仕事がない、高齢化が進んでいる…などと言われています。
ただ、裏を返せば余白が多いということです。
何にでもチャレンジができます。
まずは、小さいステップから登ってみてください!!
ーーー林さんの活動を伺いワクワクしてきました!今回はありがとうございました!
大切なのは生活を自分で作っていく意識
明るい雰囲気で取材を受けてくださった林さん
林さんのお話を聞いて思ったのは、子育ても含めて生活を自分で作っていく意識があるということです。
柔道が好き、家族との時間を大切にしたい、社会により良い選択肢を提示したい…。
そうした林さんの軸から仕事が生まれたり、生活が作られています。
それは田舎や都会に限らず大切なことなのだと感じました。
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