移住しても、仕事ってあるの…?
地方移住に関心が高まる中「仕事」は大きな心配事ではないでしょうか。
今まで住んでいた場所を離れて、新しい土地で仕事を探すのはハードルが高そう…
そこで今回は野田由美子(のだゆみこ)さんにお話を伺ってきました!
なんと、野田さんは移住後、学校を宿泊施設「学校に泊まろう! みどりの時計台」として改装して仕事にしてしまった方なのです!!!
どのような経緯で学校を宿泊施設に改装したのか気になりますよね。
移住のきっかけはラフティング
野田由美子(のだゆみこ)さん
出身は富山県黒部市。関西で就職したのちラフティングガイドがきっかけで大阪から大豊町に通っていたが、2000年に高知県大豊町に移住。現在は廃校になった学校を宿泊施設「みどりの時計台」として運営している。
ーーー現在はどんな活動をされているのでしょうか?
学校に泊まろう! みどりの時計台という宿泊施設のオーナーをしています。
ーーー移住する前は、どのようなお仕事をしていたのでしょう?
フィットネスのインストラクターをしていて、同じクラブでスイミングのコーチをしていた今の夫と出会いました。
その後、私がワーキングホリデーに行きたくて仕事を辞めたんです(笑)
程なく、私1人でカナダのスキーリゾートで半年間働きました。
その後は、同じように仕事を辞めてきた彼(現在の夫)と二人で北米大陸を半年かけて旅しました。
そこでの生活や人の生き様に、価値観が大きく変わったんです。
ーーーどういう風に変わったのでしょう?
今までは就職して、結婚して…しか想像していませんでした。
でも色んな人に出会って、選択肢の幅が大きく広がったんです。
日本に帰ってきてからは、知り合いのスキーショップを手伝っていました。
そこでたまたま、大豊町でその時に偶然、ある会社がラフティングガイドを募集していることを知りました。
ーーーラフティングと聞くと、徳島県の大歩危・小歩危が有名ですね。
そうなんです。
大豊町にもラフティングに適したエリアがあり、新規コースとしてツアー化するために、ガイドの増員が必要だったようです。
昔から体を動かすことは好きだったので、応募して行ってみることにしました。
ーーーラフティングはいかがでしたか?
吉野川のダイナミックさに、度肝を抜かれました(笑)
こんなところでお客さんを乗せてガイドをやるなんて面白そう!と思いチャレンジしてみたんです。
荒波の中で行うラフティング!!!(みどりの時計台HPより)
ーーーそこから移住までは、どのような経緯があったのでしょうか?
ですが次第に「あぁ、また窮屈な大阪へ帰るのか…」と思うようになり、夏だけ大豊町に住むようになった期間を経て、最終的に移住をしたんです。
ーーーズバリ、決め手は何だったのでしょう?
自然と共存するライフスタイルに強く惹かれ、自分の価値観というものが明確になったことです。
ーーーというと??
この町には、「結」と呼ばれる、助け合いの精神や「古いものを大切に使う」習慣が、まだ残っています。
技術や知恵を使って、自分の力で丁寧に暮らす人たちに深く共感したんです。
そして次第に、私もその一員になりたいと思うようになりました。
みどりの時計台を設立するまで
みどりの時計台の施設。正面に見えるのが体育館。
ーーー移住をされてからの仕事は、どうやって見つけたのでしょう?
当時は、どうやったらこの町で生きていけるかをずっと考えていました。
ラフティングガイドの仕事は、夏だけですし、体力があるうちしかできないと思っていたので、生涯できる仕事はないか、考えるようになりました。
ーーーそこで出会ったのが、この廃校になった校舎だったんですか?
そうです!
実は、前々からこの緑色の時計台が気になっていたんです。
この時計台は高速道路からでも見えるくらい目立っていました。
ここにある時計台が「みどりの時計台」という名前の由来になった。
何だろうと思っていたら廃校の小学校だったことが分かりました。
そこで、とりあえず見に行ってみたんです。
ーーー見に行ってみて、どう感じましたか?
日当たりも良いし、体育館も校庭も良い状態で残っていました。
しかも大豊インターからのアクセスも良い。
加えて私の好きな木造建築で…全てが最高でした!
でも当時は使い道が見つかっていなかったのです。
そこで、これをどう使おうかと考え始めました。
ーーー結果的に、どういった結論になったのでしょうか?
今のような宿泊施設にしようと決めました。
これがみどりの時計台が誕生したきっかけです!
当時は、大阪の家も引き払っていたので、「やるしかない」という気持ちでしたね。
ーーー廃校を宿泊施設にしようと思った理由は何ですか?
ラフティングを楽しんで頂いても、当時の大豊町には宿泊施設がなかったというのが理由です。
せっかく大豊町に来てくれた方も、徳島や高知市内の方まで行ってしまい、もったいないと思っていました。
だから、宿泊施設があれば、もっと大豊町を楽しんでもらえると思ったんです。
なんだか懐かしい雰囲気。左の壁は、野田さんがDIYで取り付けた。
ーーーラフティングの経験が、活きたんですね!
そこから、廃校になった学校を宿泊施設として運営するための準備が始まりました。
できるだけそのままの状態を保ちながら、必要なところだけ自分たちの手でDIYしていきました。
ーーー例えば、どのような所をDIYしたのでしょうか?
手前に開くドアを外して、スライド式のドアに替えたりといった部分です。
レールなどもDIYで作成したそう!
あとは、大きな部屋を仕切るための壁を設置したりしました。
もともとの良さを活かして、より良いものに作り替えるDIYはとても楽しかったです。
ーーー「そのままの状態を保つ」理由などありますか?
私がこの校舎を初めて見た時に感動したのが、木造の校舎でした。
古い建物って、すごい良い素材を使っているんです。
宿舎の廊下。できるだけ戸や床などはそのまま使っている。
こうした昔からあるものを大切に残していきたいと思ったんです。
壊れても直して使い、丁寧に暮らしていきたいと思いました。
ーーー客室は、本当に学校のようです!
学校がどんどん統合されて、学校の備品は廃棄されることがほとんどなんです。
でも教室の中に泊まるというコンセプトがあれば、それらは教室を彩るインテリアになります。
「図書館」と書かれた部屋には本がズラリ。本好きにはたまりません。
ーーー確かに、図書館の中で泊まる経験はなかなかできません(笑)
移住後に、価値観の変化はありましたか?
ものを大切にするようになったと感じます。
例えば物を大切に使い、壊れたら直す、必要なものがなければ作る。
あとは、ゴミを少なくする、などです。
また、自然環境やエコロジーにも興味を持つようになりました。
「便利=幸福」「お金=豊か」ではなく、自分が本当に幸せになることは何だろうということを考えるようになったんです。
目指すは、人の集まる場所
みどりの時計台の事務所がある施設。入り口にあるカヌーは野田さんのもの。
ーーー野田さんのこれからのビジョンについて教えてください。
私個人のライフワークとしては移住促進や大豊の観光にも力を入れた取り組みをしていきたいと思っています。
「学校に泊まろう! みどりの時計台」に関しては、食事の提供をしたいと考えています。
ーーー食事の提供ですか…。なぜそのように思われたのでしょうか?
大豊町には飲み屋がほとんどないんです。
あったとしても車で行く必要があり、お酒は飲めない…。
そこで、「学校に泊まろう! みどりの時計台」併設のカフェ&バーを開き、お酒を飲んだら宿泊して帰る、といったことができる場所を作りたいと思っています。
ーーー野田さんの目指す理想像とはどういったものなのでしょう?
もともと、「学校に泊まろう! みどりの時計台」は川口小学校という学校でした。
当時はここが生活の中心になって、催し物も行われていたはずです。
小学校は廃校になってしまいましたが、地域の人が集まる場所作りをしていきたいです。
ーーーありがとうございました!
学校に泊まろう! みどりの時計台 基本情報
〒789-0303
高知県長岡郡大豊町川口665
TEL 0887-72-0202
tomaro@midorinotokeidai.com
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