「子どもが生まれたら、自然の中でのびのび育てたい!」
そう思うご夫婦は多いと思います。
実際、子育ての環境を変えたくて移住地探しをする方は増えているようです。
今回は、田舎で子どもと暮らしたいと考え、嶺北にたどり着いた中田麻祐子さんに取材してきました!
30代子連れ移住を考えている方には、参考になる内容かと思いますので、ぜひご覧ください!
夫と子どもと3人家族で東京から移住!
中田 麻祐子(なかた まゆこ)さん
1984年生まれ。東京都出身。2016年に本山町地域おこし協力隊の、地域おこし活動部門として活動。3児のママ。
幼い頃から植物が好きで、大学院修了後は環境コンサルタント会社で植物調査員として勤務。
現在は「もんち自然がっこう」を主宰するほか、最近は「人の内側の自然に」に対する興味があり、「聴く」について勉強中。
ずっと東京暮らし。植物関係の仕事をしていました
—東京から移住されたということですが、移住前はどんな仕事をされていたのでしょうか?
会社員をしていました。
仕事内容としては、生きものの調査をしていて「環境コンサルタント」という仕事をしていました。
具体的には植物の調査員をしながら、環境教育やイベントを担当。
ちょうどこの仕事に就いたタイミングで、市民に「こんな植物や生きものがいるよ!」ということを伝えていく、市民参加型の調査が始まりました。
その仕事を6年くらい携わらせてもらい、私としてはその仕事がすごく印象深く残っています。
虫が専門の上司と「セミの羽化の観察会」なんかもやったこともありました。
—この写真も中田さんが撮られたのですか?
そうなんです。今思えばよくやったなあと思います(笑)
午後6時前に上司と落ち合って、都会のど真ん中で、穴を探してセミの幼虫の追跡をしたり(笑)
—すごい仕事ですね…!
専門的な生物調査を一度行っていて、その調査結果をもとに、子どもたちの副読本や冊子、図鑑を作ったり、観察会を行ったりしました。
そして、そんな活動から派生して、公園の草原にビオトープをつくる活動につながっていきました。
—ビオトープとはなんでしょうか?
生きもののすみかという意味です。
人が育てるのではなく、生きもの同士が影響しあって、自然と生きていけるような仕組みのことです。
都会では生きもののすみかが少ないので、ビオトープをあえてつくろうという試みがしばしばあります。
そこで、私が関わっていた地域でも「住民と一緒にビオトープをつくる講座をやらないか?」という話になり、2年ほど担当させていただきました。
—知らない世界です。おもしろいですね。
そういった、自然と人をつなぐ活動を仕事にできたのがありがたかったです。
田舎暮らしはずっとやりたくて「畑」をしたかった
—そんな充実した仕事をされながら、れいほくへの移住を決められたようですが、どんな道のりだったのでしょうか?
長男が2歳になる前に移住したのですが、もともと田舎暮らしに興味があって、ずっと畑をやりたいと思っていました。
東京にいた最後の1年も畑に関わるようにはしていたのですが、生まれてからずっと東京にいたので「少し飽きたな」という感覚もあって、移住地を探し始めました。
あとは電信柱に「大きな声で話さないように」と貼ってあるのを見て、確かに住宅地で狭いところで、いろんな方が暮らしているけれど、子育てをしていると、少し子育てのしづらさを感じたことでもありました。
あとは子どもが生まれる前から、自然学校で働きたいという気持ちもありました。
—植物がお好きなだけあって、もともと自然に近い暮らしをされたいと思われていたんですね。
「人間とまみれたい、暮らしとつながる自然を探求したい。」
自分の中の根本にあるのはそちらかなと思っていました。
—しかし東京から高知、移住地としてはかなり遠いところを選ばれたのですね。近場も考えられていたのでしょうか?
そうですね。東日本大震災のこともあって、西日本を視野に入れていました。
高知が視野に入ったのは、夫が林業に興味があったからです。
四国自体、香川にしかきたことなく、高知は未知でした。
—そこから高知にされた決め手はなんでしたか?
東京で開催された起業塾に参加し、通っている最中に現地視察で高知にくることがありました。
東京の上野で開催されたイベントでも、嶺北に対して好印象を抱きました。
農業イベントで偶然、情報収集しようと足を運んだ土佐町にも事務局がある「おむすびーず」さんともつながり、れいほくへの移住支援を行う「れいほく田舎暮らしネットワーク」ともご縁がつながりました。
そこにちょうど、本山町地域おこし協力隊の募集も重なり、地域おこし協力隊に応募しようかなと思いはじめ、運が良ければ移住してみようかなと思うようになりました。
地域おこし協力隊としての活動内容
—その後、地域おこし協力隊では、どのような活動をされていたのでしょうか?
2人目の妊娠出産などもあり、丸1年だけの活動となりました。
活動内容としては、今まで仕事で行ってきた植物調査を中心に、それから派生したイベントをしていました。
本山町には「帰全山公園」がありますが、そこの植物調査や、名物であるシャクナゲが枯れ始めていた現状を調査し、役場の方に伝えることからはじめました。
その後、枯れたシャクナゲの伐採をして、その木で焼き芋をするというイベントなんかも行いました。
地域おこし協力隊卒業のその後
—そういった専門職は田舎ではかなり需要がありそうですよね。協力隊を卒業し、しばらくは子育てで大変だったかと思いますが、卒業後はお仕事はどうされていますか?
2人目が1才になり保育所に預けられるようになった2018年4月に個人事業主として開業しました。
開業した初年度は、町内にある「上街公園」にある桜の木の調査をしました。
桜は本山町のシンボルの花でもありますが、全体的に元気がないままになっているということを、植物に精通している地元のおじいちゃんからも聞いていたので、なんとかしなくちゃ!という気持ちがありました。
まずは、どの木が元気で、どの木が病気かといった、現状を知るための調査が必要でした。
それと同時に、現状を町民に把握してもらいたくて、同じ想いを持つ本山町観光協会にイベントをしようと呼びかけました。
そして、森とみどりの会の補助金を利用して「樹木医と桜を見て観て診てみいや!」という、樹木医4人との桜の観察会を行い、約30人の参加者に来ていただくことができました。
その後についてはまだ未定ですが、なんとかしたいなあという気持ちは今も抱いています。
それ以外の仕事としては、ガイドやアウトドア関係でお仕事をいただいたり、樹木医として講師を務めたりもしました。
れいほくに住んでみて感じるメリット・デメリット
—自然がたくさんある地域だからこそ、仕事の幅が広いですね。実際にれいほくに移住して感じる、魅力や逆に不便だと感じたことなどあれば教えてください!
れいほくはやっぱり自然が豊かなエリアで、都会にいては得られない経験が日々得られるというのが大きいなと思います。
ちょっと歩けば川があったり、草の種類も多いし、出会う生きものの量もちがい、子どもがたくさんのことを経験できるなあと。
あとは子どもが少ないので、子育て世帯をあたたかく見守ってくださる方も多いです。
先日も娘が怒って大きい声を出したりしていましたが、それによって窮屈な思いをすることはなく、助かっています。
—それは大きいですよね。子どもははしゃいでなんぼですね(笑)
あとは生産者と近いというのもすごく大事なことだと感じています。
食べ物の作られる様子や木が伐られて運ばれていく様子など、大きくなってから思い出すこともあるだろうなあ。
デメリットは、車ができないとできることが少ないのは、しんどいなと感じることがあります。
—地域によっては、スクールバスがないところもありますもんね。
そうですね。選択肢がもっとあればいいなと思うシーンがありますね。
児童数が少ないから温かく見守ってもらえるメリットもあれば、少ないから、すぐに会える遊び相手がいなかったり。
今暮らしているような中山間地には、子どもが自由に行き来できる環境も少なく、子育て支援も極めて少ないので、何かが起きた時に子育て家庭への負担がすごくあるとも思います。
今できることとしては、そういった困りごとを声にしていきたいと考えています。
—声にして発信してくことって必要ですね。最後に移住を考えている方になんでも一言おねがいします!
人とつながれば、いいところがたくさんあります。
特にれいほく地域は移住者が多く、移住者同士がつながりやすいなと思います。
あとは、れいほくは湿気がすごく、南国土佐というだけあって、日差しがきつく、夏は暑いので、覚悟してきてください(笑)
—確かに夏は朝晩の寒暖差がすごいですよね(笑)すごくリアルな話や中田さんだからこそのお話が聞けて興味深かったです。貴重なお話をありがとうございました。
生きものとの暮らしを楽しむ
中田さんからお話を聞いていて、すごく印象的だったのは日常の中に自然をすんなりと取り入れておられること。
植物好きな中田さんだからこその発見や視点がすごくおもしろい取材となりました。
そんな中田さんは移住後の生活で、自然に特化した内容を個人のブログでも不定期で発信されています。
「こんな植物あるんだ!」なんて発見があって、中田さんの頭の中を知ることができ、私たち自身の日々の暮らしにも植物を楽しみたいと思わせてくれます。
ぜひこちらのブログもチェックしてみてくださいね。→ 雑 is beautiful
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